5月13日(木) 上海 1日目 曇り 18度

 いつものように朝早く目が覚める。一服吸いにデッキへ出たら、本船はすでに長江の支流である黄浦江にある「上
海国際客運埠頭」に接岸していた。新港は上海市内のど真ん中に作られた港なので、本船から上海中心地に林立
する高層ビルを眺めることができた。

横浜から2晩掛けて1000マイル航海してきた

 上海港国際客運センターは外灘(バンド)北部に建設が行われ、2008年から運用が始まっている。この上海港
国際客運センターは今後20年、中国は世界最大の旅行客受け入れ国となると予測されている。中国の海岸線のほ
ぼ中央に位置する上海は観光国際港としては最適の位置だといえる。

 上海港の旅客受け入れの要である、国際客運センターは完成後は、年に延べ50万人の旅行客が利用する見込み
で韓国・日本・香港を48時間以内に結ぶ豪華フェリーも就航の予定という。

 上海港国際客運センターは水滴の形をした豪華な旅客ビルで、その奇抜なデザインは注目を集めており、上海の
新たなランドマークとなるといわれているが、私には芋虫のように見えました。
  
新しく作られた上海港国際客運センター(左)と埠頭(右)

停泊地の目前に東京タワーより高い東方明珠タワー(468m)や森ビル(上海ヒルズ)が見えます。
  
下船すると早速、干支のタイガー君が出迎えてくれました

 朝食を摂ってから、旅行会社主催の「上海万博終日ツアー」に参加する。ギャングウェイを通り、3日振りに大地
に足を下ろしたのは真新しい「上海国際客運埠頭」です。

 埠頭には白いテントが張られていて、ここで入国のチェックを受ける。ここの係は当初、入国管理局の役人かと思
いましたが、パスポートチェックは警察が行っていたようです。最初のうちは入国日付や写真を入念にチェックしてい
ましたが、そのうち面倒になったのか後半になってからは顔写真のみで通過させていた。

 ここの警察はあまり愛想が良くなく、ギョロリと写真と顔を一瞥し、その後、顎をしゃくって行けという仕草で、あまり
いい印象ではありません。
 
 埠頭まで観光バスが迎えに来ていたので、それほど歩くことはなかったのだが、万博の指定駐車場から万博のシ
ャトルバスの停留所まで随分と歩かされたのには参った。(1q以上あったような気がします)

 それならば、観光バスはシャトルバスの停留所近くでまで行ってから客を降ろして、駐車場へ行けば、これほど歩く
必要はないのになと思ったりした。おまけに引率の添乗員・ガイドから信号無視して道路を横断し、後に続くおばさん
が危うくはねられそうになるところを目撃して、何という添乗員だと内心腹立たしく思った。おばさんは中国では車が
右側通行という知らなかったらしく反対方向ばかりを見て横断したのが原因です。

  
表通り側は格好の良い壁を立てていますが、裏側はご覧の通りの長屋です。
このような家屋はあちこちにあり、更地になった場所も多数見られました。
  
元は租界地であった外灘地区の立派な建物群
  
左写真のアパートは初期のアパートで万博のため屋根を改造したそうです。
最近は右写真のような高層マンションに変わりました
  
南浦大橋。ケ小平の揮毫した橋名が誇らしげです。
中国は何でも巨大なものが好きなお国らしい。

南浦大橋から見た万博会場。特徴のある日本館・中国館が見えます。
上海はいつもこのような天気なのか、スモッグで視界が悪いです。
  
外灘地区から浦東地区を望む。森ビルは見る位置で形が変わるという面白い設計です

●上海万博見物

 上海万博は189カ国が参加するかってない規模で5月1日に開催された。この万博のため中国は約42億ドル(約
3950億円)を投じて開催されるというイベントで、急速に成長する経済と国家の威信を示そうとしている。初日には
人気展示施設の前に長い列ができ、割り込みする人に声を荒げる来場者も見られたという。中国館など人気パビリ
オンの入場予約券は入手が困難となっている。

 我々が入場した日は一段落した後なので、会場内はガラガラ状態であった。それでも人気のパビリオン前には長
蛇の列であった。

上海万博の概要
       時   間  2010年5月1日〜10月31日
       場   所  上海市中心黄浦江両岸、南浦大橋と盧浦大橋間の濱江地区
       テ ー マ  より良い都市、より良い生活
       副テーマ  都市多元文化の融合
               都市経済の繁栄
               都市科学技術の革新
               都市コミュニティーの再生
               都市と農村の対話
       目   標  200の国家と国際機関の出展
               7000万人の見学者を誘致

 副テーマを見ると現在の中国問題がそのまま反映されているようです。しかも発展途上国で初めての開催という
ことらしいが、今年は中国のGDP国内総生産が日本を超して、世界第2位なるという国力を持つ国である。中国は都
合が悪くなるとこの発展途上国なんだからなんでも許されるというご都合主義の典型的な国だということがよくわかり
ます。しかし、現在のバブルがはじけた時の世界経済に及ぼす影響が気になるところです。

 シャトルバスを降りてからガイドが入場券を買いに行ったため、入場ゲートでしばらく待たされる。いざ入場する段
になると誰も並んでいない例のジグザグになった柵の中をを行ったり来たりしてようやく、ようやくセキュリティの場所
にたどり着いた。誰も並んでいなければショートカットで入場させる工夫も必要と思われた。それにしてもあの長さは
ただものではない。優に2,300メートルは歩かされた感じである。

 会場内に入るとまず各パビリオンのスケールの大きさに驚かされた。集合場所は日本館近くの広場と決定し、それ
ぞれお目当ての各パピリオンに向けて散っていった。

 こちらはあまり歩けないので近くのAゾーンのパビリオンを見て歩くことにした。歩き始めると足の悪い者にはとにか
く歩きにくい。あちこちに段差があり、ついに転けてしまう。起き上がることできないでバタバタしていると通りがかりの
中国の20歳前後のお姉さん2人が助けてくれた。なんと親切な人達なんでしょう。「謝!謝!」を連発して別れた。

 会場内の見物客はほとんどが中国人のようで欧州系の人達はほとんど見ることができなかった。後でこの日の入
場者を調べたら21万人だったという。5月は800万人が入場したということである。このペースであれば、目標であ
る7000万人の入場者は無理な状況である。もしかしたらメンツを大事にするお国柄のため、強制動員をかけてでも
目標を達成に努力するかも知れない。

 会場内は掃除のおばさんがあちこちに大勢いるのでゴミはほとんど無いのだが、愛想もなく嫌々ながら掃除をして
いるようで、見ていて気の毒な気がした。ディズニーランドと同じ掃除の仕方までとは言わないが。もう少しスマートに
できないものかと感じた。

 今回の万博見物の目的はパビリオンの中を見物するのではなく、万博の雰囲気さえ味わえばそれでよしということ
なので、バスに乗って会場内を一回りすることにした。巡回のバスが停車して乗り込むと次から次へと乗客が乗り込
んでギュウギュウ詰めの状態。しまいに運転手と乗り込む乗客が「降りろ」「乗せろ」でケンカする始末。どうして次の
バスを待つことができないのか理解に苦しむ場面でした。このお陰で左腕がバスの柱に押されて青タンをこしらえて
しまった。

 こんなバスにはいつまでも乗っていられないので、どこでもいいから降りるチャンスを覗うが、なかなかそのチャンス
がこないまま乗車し続け、ようやく降車できたのはCゾーン近くのバス停で、降車してホッとすることができた。ヤレヤ
レである。

 ここで昼食を摂って、元の場所へバスで戻る。帰りは比較的空いていたので良かったが、とにかく混雑するところに
は近寄らないという学習をしました。しかし集団になると、あの大声で喋りまくるのは何とかならないものか。

  
    川向こうに産業パビリオンが見えます           万博会場行きのシャトルバス
   
   入場ゲート誰もいません                  ゲートから日本館を望む
      
       パンフレットは中国語と英語しかありません       表紙のスタンプは北朝鮮館のもの
                                    入場券は厚紙に印刷した簡素なものでした

会場は大きく地域別にA、B、Cの各ゾーンに別れ、向こう岸には産業パビリオンがあります

日本館の人気は相変わらずで我々が到着したときは、すでに1時間半待ちの状態であった
  
       会場内は飲食店が多い              トイレです。その横には喫煙所があります。

会場内を走るバスはすべて電気バスです。
 このバスは屋根にパンタグラフが着いており、所々の停留所に電線が張ってあり(3m位)、そこでパンタグラフを揚
げて充電しています。それであればトロリーバスにすれば良いと思うが、架線が景観を損なうことや追い越しできな
い、走行幅が狭いという欠点があるのでこの方式になったのではないかと思われます。

●中国式の定食屋さんで昼食
昼食は定食屋に入り食事をする。看板を指さして何とか注文する。写真の両端の料理を注文して
丁度50元でした。味は辛みが主体で結構美味しものでした。ここでも店員が親切にしてくれて、
場所取りから注文の仕方まで親切に教えて貰いました。注文はマックと同じ方式でした。

●各国のパビリオン
できるだけ入場者が並んでいないパビリオンを狙いましました。
写真のほとんどは中央アジアの国々です。人気がないだけに中はとても簡素です。

●話題の北朝鮮パビリオン
建物は大きいのですが中身はほとんどありませんでした。主体思想塔の前で手を合わせている
人もおりました。売店では切手が結構売れていたようです。

中国館は予約券を手に入れるのが大変らしい

あちこちにテント張りの休憩所があり、ここで堂々と喫煙してもOKでした

 規則で液体・ライター・マッチ類は持ち込み禁止ということで、あらかじめライターは持たなかったので、煙草を吸い
たいときは喫煙をしている中国人に声をかけて火を貸してもらった。さすがに彼らもライターは金属探知機に反応す
るので、マッチを持ち込んでいるようだった。100円ライターは材質がほとんどプラスチックなので多分引っかからな
いと思うのだが・・・・・・。

 中国人は比較的親切である。煙草の火を貸してくれた人は、こちらが杖を持っていることがわかると私が飲んでい
たコーラの空き缶を捨てに行ってくれるという親切さである。これが集団化すると、なぜか傍若無人になるのは不思
議である。

  
ここで一服していたらセキュリティの一団が隊列を組んで通り過ぎましたが、チラッと見ただけで
何のお咎めもありません。これでライター・マッチの持ち込みが禁止とはどういうこと?

 公認の土産物店前のベンチで休んでいたところ、小学生の団体と一緒になった。彼らと目があったので、いつもの
ように「イエッ!」とVサインを出したら、たちまち15,6人の子供達に取り囲まれたしまった。中国語でいろいろ話し
かけてくれるのだが、チンプンカンプンである。こちらの中国語といったらは情けないことに「ニーハオ」と「シェイシェ
イ」くらいしか知らない。後は麻雀用語やイー・アル・サン・スーの数字のみである。

 そこで紙と鉛筆で漢字を書いたら何となくコミュニケーションがとることができた。そこでわかったのは彼らは中学生
で12歳〜13歳ということで修学旅行か遠足の一環として万博見物に来たらしい。そのうち、こちらが日本人とわか
ると握手攻めである。彼らから見れば外国人なので、一層興味を持ったらしい。

 記念に写真を撮ると言ったら、海宝クンの前に並んでくれた。後で気がついたのだが、写真を送ろうにも学校の名
前・住所を聞くのを忘れてしまったのが残念至極であった。最後に引率の先生と挨拶を交わして別れた。とにかくこ
の国の子供達の人懐っこさには驚いた。

  
親指を立てた「海宝」君。親指を立てた仕草は友好と歓迎を表現しているという。
中国の子供達と仲良くなりました。
  
集合場所の広場にはほとんど人影を見ることができませんでした

このゲートから万博会場を後にしました。この日の入場者は21万人だそうですが、
この時間になると誰一人入場する観客はいませんでした。それでも係は直立不動で
立っていました。制服組は必ず移動するとき歩調を合わせるのがいかにも中国らしい。

●万博帰りの道すがら風景
  
  市内のあちこちにEXPOの文字が見られます          この看板は婦人下着店?
  
南浦大橋を渡るにはループを一回り以上回ります
  
外灘地区の遊歩道
  
この遊歩道はいつもたくさんの人達で溢れかえっています
  
   埠頭近くの公園。クジャクはすべて花です           一夜この港で停泊します

●浦東地区の夜景

このビルの照明は時間と共に色が変わります
  
埠頭にある上海港国際客運センター

浦東地区の夜景

黄浦公園方面の夜景

公園近くのビルからサーチライトが出ています

この時間帯は多数の遊覧船が行き来しています

水辺からの夜景は香港の方が素晴らしい
  
南浦大橋に係留されていた遊覧船も運航し始めました

本船のライトアップもきれいでした
各旅行社の案内所
船内の喫煙はここで
今夜のショータイム
スウィングシティ

 今日は久し振りの上陸であったが、見学場所が万博会場とあって歩いた距離も1万歩近くまでなった。疲れまし
た。本船はこの港に1泊停泊するので、乗船客の中には船に戻らずに市内のホテルに宿泊する人もいたらしい。本
船の乗降は24時間自由なので、夜中でもギャングウエイにはセキュリティの連中がたむろしていた。

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