3月25日(金) 終日航海 晴れ 8度

 今日は仁川に向け終日航海である。いつものように5時過ぎには起床し、外を眺めると海は平穏で、快適な航海で
ある。天津を出航した時は海の色は黄河の影響で茶色であったが、一晩過ぎてようやく本来の海の色に戻ったよう
だ。今日は体を休めるため、何もしないで、ひたすら船室にいて、数独三昧に明け暮れた。

 今回の航海は、ほぼ南北を航海しているため、時差がほとんどなく時計を1時間進ませたり、遅らせたりするのみ
で済んだ。中国では1時間遅らせ、韓国に向かう今日は1時間進ませて日本時間と同じになった。

 前回の中国寄港では下船するときパスポートを携帯することが義務付けられていたが、今回はパスポートのコピー
にイミグレーションのスタンプを押したものを持って歩くように言われた。そのコピーも天津乗船時に回収された。下船
時にコピーを無くしたり、忘れたりして大騒ぎをしている人もいて大変な様子であった。明日の韓国・仁川ではパスポ
ート原本を携帯することになり、今日の夕方にパスポートを受け取る。しかし下船・乗船時のチェックは無かった。前
回の済州島や釜山ではそのようなことがなかったので、中国・韓国とも審査が厳しくなっているような感じがする。

 
10時現在の本船現在位置。大連沖を航行中であることがわかる。
 
本船近くを貨物船と平行して航行中。いつの間にか後方に消え去りました。
 
         海上はべた凪の状態             朝食・昼食は9Fパノラマ・ビュッフェで摂ります

◆ディナー風景
 
ディナーは5Fの「クラブ・レストラン」で摂ります。指定席で17時と20時の2回制です。
最後はシャーベットとコーヒーで締めます
食事中に日没を迎えました

毎晩フルコースを食していると必ず体重が増えます。今航海でも3回ほどディナーをパスして
ビュッフェで自分の好みの物を少なめに摂っています。

 
     レストランに隣接しているクラブバー         ここで絵画のオークションが行われます

3月26日(土) 仁川 晴れ 8度

 時差がまた1時間戻され、日本時間となった。朝食時にビュッフェの外に出てみると今日も相当寒そうである。甲板
の水たまりは薄氷が張っていたので、夜中は相当冷え込んでいたに違いない。デッキには「ICEY SURFACE」の張
り紙がしていた。

 今回のクルージングは最初の予定では仁川に寄港する予定であったが、途中で北朝鮮の砲撃の影響で仁川が抜
港となり、その代わりに上海停泊が1泊増えた。さらにその後、3・11に発生した日本の震災によって福岡・広島・大
阪寄港が抜港となり、急遽、仁川寄港が復活し、そして新たに基驕A香港が追加になった。このように今回のクルー
ジングはコースがめまぐるしく二転三転した変則的なクルージングとなった。

 仁川は朝鮮戦争のとき劣勢だった連合軍がここから上陸作戦を行い、中国国境橋まで押し返した記念の土地であ
る。この時のニュースは子供ながら鮮明に記憶している。このあたりの海岸は漢江の河口で遠浅らしく、近くの仁川
空港も海岸を埋めて建設されたという。いまや仁川空港はアジアのハブ空港として発展していることはよく耳にするこ
とである。

 ところが突然北朝鮮が2010年11月23日、韓国が黄海上の軍事境界線と定める北方限界線(NLL)に近い韓国
西方沖の延坪島と周辺の黄海水域に、北朝鮮側が砲撃し、民家人と兵士に犠牲者がが出た。このため延坪島から
避難民が続々と仁川へ押し寄せたという。これほど北朝鮮に近いとは実際に行って初めてわかった。本船も入港に
際して大きく南側に迂回して仁川港へ入港した。

 船会社のオプションにも「韓国DNZ、第三トンネルと臨津閣公園」というコースがあり、国境線が目と鼻の先にあ
ることがひしひしとわかる街でもありました。

 仁川港の特徴は、閘門によって最高10mに及ぶ水位の差を克服し、大型船舶の常時入出港を可能にするための
特殊な港湾です。仁川港の閘門は最大5万トン級の船舶が出入りでき、閘門式ドックは東洋最大規模です。船舶が
仁川港のドック内に出入りできる通路は2本あり、5万トン級の船舶が通過できるドックと1万トンの船舶が通過できる
2基のドックがあります。
 
タグボートが本船に近づきパイロットが乗り移ります

◆仁川港閘門通過
 朝四時頃から仁川空港へ着陸する航空機がひっきりなしに上空を飛んでいた。本船は6時頃、内港に入るため閘
門に到着した。この辺は潮の干満差が激しいため内港の水位を保つ目的で、パナマ運河と同じような閘門が設けら
れている珍しい港である。水路の水位を見ると確かに外海と内港に差があるのが一目瞭然にわかる。
閘門の入口には風向き、干満、潮の流れなどを表示しています

 本船は閘門に入ると一時舫綱で固定してから注水する。タグが本船に寄り添うように方向を修正しているのがよく
わかる。他の乗船客から聞いた話では出港時に閘門に船首をぶつけて大きな音がしたという。我々は入港時に閘門
通過を見ていたので出港時は部屋にいて気が付かなかった。その後、本船は何事もなかったように運行していたの
で船体にキズは付かなかったと思われる。しかし、もしこの衝突で船体に何らかの損害を被った時の責任は果たして
パイロットにあるのか船長にあるのか気になるところである。
 
      本船はいよいよ閘門に入ります           タグが慎重に押したり離れたりしています
 
       左側が1万トンクラスの閘門                  閘門の管制塔
閘門は両開きではなく横にスライドして開閉します
 
        ようやく内港に入りました                   フェリーの前に接岸
 
     甲板の水溜まりは凍っていました              パノラマビュッフェの外側テラス

◆仁川上陸
 仁川、基驕A香港の寄港は成田で初めて変更を聞かされた関係で、旅行会社のオプショナルは当然設定されてお
らず、申し込むことはできなかった。それでも船会社のオプショナルは設定されていて、その案内を貰ったが、困った
ことにそれらのオプショナルはすべて英語でガイドされるのがつらいところである。また我々のツアー・グループで誰
が参加するのか知るよしもない。もし日本人が参加することがわかれば相談することができるが、今回はそのような
機会がなかった。

 本船は7時過ぎに桟橋に到着。港付近は何もない寂しいところで、皆さんはそれぞれオプショナルツアーに出かけ
たようだ。我々も下船してシャトルバスで港近くの仁川駅と中華街をブラブラして帰船した。商店街はまだ時間が早い
ため開店前で、折角マグネットを買うため両替したのに一銭も使わずにまたドルに両替するという、なんとも情けない
結果となった。これからは仁川以降の寄港地では港近くを散策するだけに留め、後は船で遊ぶことにした。

韓国の港はどこへ行っても歓迎のセレモニーで出迎えてくれる。
恐らく国の観光事業として実施しているように見受けられた。
 
9時頃下船すると太鼓と踊りの民族衣装で出迎えてくれました
 
3万とクラスの本船でも近くによると大きく見えます

本船の後ろ姿は妙に角張って見えます

どのような船でもこの角度が一番格好良く見えます
 
         シャトルバスの車内                結構大きな建物が並んでいました
 
     仁川駅周辺は古ぼけた建物で一杯です            駅前にある中華街を散策
 
  朝の早い時間のため1軒だけ開店していました    中華街の建物。ハングル語なので名前は不明。
 
            仁川駅                    改札は日本と同じ自動改札でした
 
    まるで日本の駅を見ているような感じてした    ソウル行きの電車が2,30分おきに出ています

◆本船から見た仁川市内

仁川の人口は約260万人で、ソウル、釜山に次いで韓国で3番目の大都市

本船から仁川市内を眺望

◆本船10Fデッキと9Fデッキを眺める

10Fにはジョギング用のトラックがあります

後部には図書室、ステーキハウス、サパティーニがあります

本船のマストは意外とこぢんまりとしている

10Fから9Fのプールを望む
 
        この奥にサバティーニがあります        バンドスタンド(ほとんど演奏していなかった)
 
        この寒空によく入っています                プールバーは開店休業中

 仁川では、できればDMZと第三トンネルのツアーに参加したかったが、日本人の参加者は誰もいなかったので
参加しなかった。それでも一日が終わってみると、是非行くべきだったと後悔しきりであった。「後悔先に立たず」とは
まさにこのことかも知れない。

 
本船は定刻20:30に仁川港を離れ、次の寄港地台湾・基骰`へ向け出港した

 今日になってようやく帰りの飛行機が決定した。我々だけ8:30のキャセイ航空で羽田に行くとになった。従って香
港二日目は朝4時半には本船を下船して、香港空港へ向かうことになった。当初はみんなと一緒の便になると思って
後泊を覚悟していたが、予定の旭川便に間に合うのでまずは一安心。

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